KUROのブログ

黒崎政男〜趣味の備忘録

2018年06月

■貴重なエリントン、オリジナル盤を入手。裏面書き込みあり!

LINN のLPレコードプレーヤーLP12を、電源部やらシャーシ部を強化しアームもECOSにまでグレードアップし、カートリッジもKandidにしたあたりで(それまでは、国内盤であろうと再発盤であろうと外盤であろうと頓着してこなかったのだが)、急に初期盤、オリジナル盤のよさが圧倒的に際立ってきて、それ以降、LPレコードはなるべく初期盤かオリジナル盤を入手するようになった。
 最初に目覚めたのは、昨年、クレンペラー指揮マーラー「大地の歌」を中古レコード店で購入したとき。おなじレコードでも500円、1500円、5000円みたいに国内再発か、外盤か、外盤オリジナル盤かで、あまりに値段が違うので、試しに、と思って(ほぼ)オリジナル盤を購入してみたのである。音のキレがすごい。実にリアルな音、音場が気持ちいいでぞくぞくする。・・ここから長くなるので省略するが、とにかく、ここのところしばらくオリジナル盤にはまっている、ということだ。
今回、ようやく、オークションでかなり安めにDuke Ellington and Johnny Hodges の超名盤「side by side」(verve, mono MG V-8345)が入手できた。
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なにしろ、コピーをかさねた再版盤とはちがって、ジャケット自体、魅力的だ。盤面もなかなかきれいでいい。いいなあ、と思ったが、なんと裏面に書き込みがあるのを発見。最初はあちゃー、残念と思ったのである。
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だが、よく見てみると、きわめて重要な箇所を示した書き込みだ。次の箇所に線が引いてあった。

all of the second side was recorded in New York on August 14,1958.

last of the three sides cut with a smaller unit in New York on February 20, 1959

エリントン・マニアならよく知っていることなのかもしれないが、この名盤は、1958年と1959年の二つのセッションのごちゃ混ぜ盤だ、ということをこの書き込みは示していた。
私はこのアルバムにはCD時代に出会っていて、これと対の「Back to Back」とともによく聞いていた。なにしろ、ジョニー・ホッジスのアルト・サックスの音色はあまりに魅力的で、一聴して「これジョニー・ホッジス!」と分かるほど。こんなにビブラートと音色が美しいサックス奏者は、他にはいない、と(勝手に)思っている。それで、これらのアルバムは、よく聞いてはいたが、CDの流し聞きの場合には、1,2,4曲目がエリントンのピアノで1959年。その他はビリー・ストレイホーンのピアノで1958年などとは、絶対に気がつかない(なかった)。
 こう意識して聞いてみると、絶対に1958年の演奏のほう(A面3曲目、B面すべて)がいい!と感じる。こちらには、ホッジスの他に、Ben Webster(ts)、Roy Eldridge(tp)なども参加している。
 さらに、この書き込みのせい(おかげ)で、裏面のライナーノートを読むと(意訳してみると)

Just a Memory(B面1曲目)は、まず、Benがやさしくしかし力強いソロを取る。なかなかセンチメンタルだ。次のRoyは、これまで録音されたなかで一番はっきり、彼がいかにリリカルでトレイニングのいきとどいた演奏をするか、が分かる。ウエブスターとエルドリッチが雄弁にブローしたあと、ホッジスのソロは、シンプルであることが、いかに意味深いものであるかを示す典型だ。

数分の曲をここまで端的に表現したNat Hentoff という評論家は実にすぐれているなあ、と感心しながらも、このソロはBenで次がロイで次がホッジスで、と初めて意識しながら、この曲を聴いた。この一曲を実に深く味わうことができた。
 CDやネットストリーミングで、このアルバムを聴いたとしたら、ここまで丁寧に一曲、一曲を聞き込むことはなかったろう。
 貴重なオリジナル盤ジャケットに、汚されはしたが、しかし、的確な書き込み、ありがとう、という気持ちになった。


■ LINN LP12(urika2)で久しぶりにステレオレコードを再生してみた


このところ、しばらくモノラルレコード専用装置の構築(EMT930st +WE205Dppアンプ+ Tannoy "15 monitor silver)に専念していたので、ステレオレコードのほうに向かうのは久しぶりだ。

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ブルックナーは、交響曲4番ロマンティックを、1973年ウイーンフィル、ベーム指揮盤で掛けてみた。このレコードはオリジナル初期盤ではなくて、キングレコード発売のロンドンレコード。ベームが人差し指でシーッ!としている印象的なジャケット。キング盤は、jazzのブルーノート盤でもなかなかの音であり、最近はロンドンレコードは積極的に国内キング盤を聴いている。レコード番号 SOL 1003~4




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LINN LP12 は、モーターをラディカルにかえ、シャーシもkeelに、カートリッジもkandidにして、さらに内部イコライザーのurikaに、とどんどんグレードアップしてきた。最近、そのurikaを urika 2 に換えたのだが、EMT930st 導入も重なって、いまだじっくり聴いていなかったのだ。

冒頭の霧のようなpppから、わくわくゾクゾクするような音の鳴り方だ。オーディオ装置で<再生>している、というよりは、むしろ、ライブ会場で、オケを聴いている感じに近い。透明で、わくわく感がすごい。弦部が呼吸とともに鳴りだし、背後で木管たちがささやき。遠くでゆるやかにホルンがなる。。響きが濁らない。とにかく人間たちが息を図りながらメロディーと響きを作り上げていっている様子が感じられる。なにか音楽がいまここで生成しているような緊張感。そして豊かな音の洪水に満ち、また、ささやくような楽器の音色が聞こえる。美しすぎる。豊かすぎる。臨場感ということばを使うなら、とんでもない臨場感。ものすごい幸福感に包まれる。

装置は、tannoy IIILZ (red monitor) + RCA250シングルアンプ +LINN KLIMAX DSM + LP12 (urika2)

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■モノラルレコード専用装置を構築したので、次々にレコードを聴く 
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クララ・ハスキルのモーツアルトピアノ協奏曲27番 フリッチャイ指揮バイエルン州立オーケストラ (ドイツグラモフォン盤 DGG LPM 18 383)
セルとカサドシスのコロンビア、ステレオ盤がずっと私の好みだったが、あまりの
素晴らしいハスキルの演奏に驚嘆。いろいろ調べてみると、この演奏は、歴史的名盤なのだそうだ。どの分野に行っても、常に自分の知らなかった名盤が存在していることに、いつもびっくりさせられる。
 ハスキルを特に注目するようになったのは、今回、westminster盤のスカルラッティーのソナタ集を聞いてから。
 40年も前にLPレコードを聴いていた頃、ヴァイオリンのワルター・バリリやクラリネットのレオポルド・ウラッハ、若きイエルク・デムスなどを録音していた、古きよきウイーンの香りのするウエストミンスター盤が大好きで、今回、LPレコード復活にあたって、このレーベルを沢山再購入している。そのなかに、初めて入手したハスキルのスカルラッティのあまりのすばらしい演奏、この世の世界ではない、幻想的というか霊界的なといおうか、そんなハスキルの演奏に惚れて、モノラルLP盤を買いあさっていたのである。そしたら、このモーツアルトP協奏曲27番に遭遇した、というわけである。
DGG盤モノラルで、レーベルがtulip型、さらに盤面がalle で始まる最初期盤。このオリジナル盤は特に音が深く充実していてよい。フリッチャイの素晴らしい指揮も伴って、まさに世紀の名演だ。
 
装置は、プレーヤー EMT930st+WE205Fプッシュプル アンプ(自作)+スピーカー タンノイ15インチ monitor silver(モノラル)
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■長年使ってきたWE300ppアンプを改造して、最古の古典的出力管ウエスタン・エレクトリックWE205Dのプッシュプルアンプにする

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このところ、EMT930st というレコードプレーヤを導入し、モノラルレコード専用に
使用しようと考えている。さて、モノラルのパワーアンプはどうしようか。
スピーカーは、Tannoy monitor silver "15 を入れた、EMGのスピーカー
ボックス。WE300Bppアンプ(自作)を使い続けるのも曲がないし、これまで憧れてはいたが入手も困難だし、と諦めていた205Dが手に入ったので、さっそく改造工事に取りかかった。1920年代後半のナス球も素敵な姿態だが、1920年代前半の丸球は、さらにとてつもない魅力的な形だ。

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スピーカーは、もう絶対、モノラルでしか手に入らないだろうと思われる、EMG(英国蓄音機製作会社)が戦後に作った、EMG model DCR 15D speaker (Tannoy 15" Silver) 。1950年代半ばの製品である。これが、ずっと我が家に鎮座している蓄音機EMGinn Expert Siniorの隣にならぶことになった。(このスピーカーは音を壁に反射させて鳴らすので、セッティングは背中を向けた状態でセッティングする)

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改造点は
・フィラメント電圧を5V==>4.5Vに(0.2オーム程度のセメント抵抗をかませる)
・B電圧を60Vほど下げて、205のプレート電圧実質280V。自己バイアスで
カソード電圧25V程度。(これは電源トランス、ゼロ接地に1Kオームの
抵抗を入れて、電圧をドロップ、さらに、)整流管をWE274Bから80に
変えることで、多少の電圧をドロップしている。
・UXソケットを、205などのスモール型が刺さるように改造。
これは困難を極めた。UXソケットを裏返して、従来のUXソケットの上に
ネジ止め。そしてリード線を通してシャーシー内のそれぞれに半田付けする。
WE205やWE101などの最初期管は、4ピンが短くて均等なので、その後の
WE300Bや2A3などとは足が異なるのである。
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一台改造したら、なかなか具合がいいので、モノラルアンプ2台とも205用に改造してしまった。
丸球we205D(新(あたらし)先生が「管球王国」でよく使用されているWEの最古の出力管)(1920年代~1940年ぐらいまで製造)とその新型WE205F(1940年ぐらいから1970年ぐらいまで製造)を片チャンずつ(モノラルアンプの一台づつにDとFとを差している)にして、簡単に205Dと205Fの聞き比べができるようにした。ここまで、タマの入手から
アンプ完成まで一週間弱で夢中で作り上げてしまった。
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205Fの強烈な凝縮力のある音はほんとにすばらしい(私がWesternElectricに対して持っている音のイメージがそのままでる感じ。つまり、スピード感があって、無駄な音はせず、心に浸透してくる力が強い)。
が、丸球205Dもバランスが取れた美しい音がする。どちらが
いいか、モノラルスピーカー(tannoy silver"15)につなぎ替えて(一瞬!で替えられる)ずっと楽しんでやっている。(単純化していえば、205Fはジャズ向き、205Dはクラシック向き、みたいな傾向がある)
超稀少球で、秋葉原の真空管専門店にも数年に一度入るかどうか、みたいな球だが、なんと丸205Dを4本、205Fを4本も入手できて幸せ。30年前に購入していたWE300BとWE274Bといくつかのヨーロッパ管PX4,PX25などを放出し、結局、ブツブツ交換でほぼ出費なしに入手できたのはとても幸い。

 これを両チャンネルで使えば、WE205ppアンプ、ステレオになるので、ステレオ用のスピーカー(タンノイ IIILZ (red))にもつなげる。RCA250シングルアンプとの比較が楽しみである。

 以下はこのアンプの回路図というか概略図。何の変哲もないまったくシンプル極まりない回路。トランスに新素材ファインメットを使っている。特に電源平滑のチョークトランスをファインメットにすると、音がしなやかに有機的なものとなって効果抜群である。
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