台風24号が近づいてきている。JRの各線が午後八時には全線ストップなど、あまり聞いたことがない。どうなってしまうのだろうか。
そこで思いついたのが、SPレコードのクリーニング方法。いままでは水ぞうきんでごしごし拭いていただけなのだが、そうだ、あのLPレコードクリーニング方式を行ったらどうだろう、と考えた。
クリーニング用ターンテーブルにSPレコードを載せ、水の【激落ちくん】をかけて、ブラシで回転させながらレコードを綺麗に掃除。あとは、ケルヒャーの窓拭きバキュームクリーナーで吸い取る。そしてタオルの【激落ちくん】で拭き取るのである。
そんなわけで今日の日曜日は外に出る気にもなれず、久しぶりに手巻き蓄音機でSPレコードを聴く。

このところしばらくはLPレコードの再生にかかりっきりになっていたので、しばらくぶりのSPレコード。
幻の東京オリンピック1940年。これは、2020年東京オリンピックの前の1964年の東京オリンピックのその前。ほんとなら、1940年が初の東京オリンピック開催となるはずだった。しかし戦争の激化で開催を返上、中止されてしまった、幻のオリンピックである。(代替地のヘルシンキも結局は戦争のため中止。開催されなかった。)このとき、開催が決定した1937年前後に日本で作られた「東京オリンピック応援歌」やら、当時のオリンピック賛歌。そのSPレコードが合計で3枚ほど入手できたので、その試聴にかかっていたのである。
1930年代後半といえば。そろそろ戦争の影響が現れはじめて世界は大混乱になっていった。そう思ってみれば、さまざまな演奏家たちも大きな悲惨を味わった時期だ。ピアニストのリリー・クラウス。1936年初来日してその演奏公演は大成功におわったが、そののち、各国を演奏旅行中、ジャワ島で、日本軍の捕虜となってしまったことはよく知られている(注)。戦後もたびたび日本に演奏会で訪れていたから、そのときひどい扱いは受けなかったのだろうと思う。
そのSPレコードをかけてみよう。



みちがえるほど、音がよくなった!透明になって歪みがだいぶ消える。とてもうれしくなってしまった。

(注)この世界的な女流ピアニスト、リリー・クラウスが日本軍に抑留され、その抑留所で、モーツアルトが演奏されたという様子に関しては、多胡吉郎『リリー、モーツアルトを弾いてください』(河出書房新社、2006)に詳しい。
