KUROのブログ

黒崎政男〜趣味の備忘録

2022年08月


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日本盤、ドイツ盤、英国盤、米初期盤、米初期盤(mono)、などなどいろいろ揃った。



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初期盤

 ふだん、よく聞くエリントンのLPに、「ザ・ポピュラー デューク・エリントン」(RCA PG-29、1976)というがある。初期盤とかオリジナル盤とかいった興味が発生する前に1000円程度で買った、普通の日本盤。これが実にいい音でなるので、よく掛けていた。
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先日(2021年12月)、知り合いたちがきて、SPレコードやらを選択していたのだが、ちょっと、私の新しいオーディオ装置を聞いてみたい、と誰かが言い出して、ついに、LINN Klimax DSM/3のお出ましとなった。

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そのとき、ちょいと掛けたのが、このThe Popular Duke Ellingtonだったのだ。一同、感心して、LPレコードはすごいね、ということになった。私が自慢げに「これ、ぜんぜん初期盤でもないし、ただの国内盤、しかも、後盤なんだけど。でも、すごい音でしょう」というと、ある一人が「じゃあ、初期盤だったら、とんでもなくすごいじゃない?」ときた。
うーん、たしかに。。私はこのアルバムは、国内盤後盤で全然満足していたのだが、この言葉をきっかけに、急に初期盤を試してみたくなったのだった。

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このLPはeBayなどで初期盤を探すと、けっこう安価で入手できる。それほど初期のLPでもなく、また、大量に売れたLPなので、こういうことになるのだろう。
そして、結果は。。

実在感が違う。空間の広がりが大きい。ひとつひとつの音に重み、というか、存在感がある。では、というので国内盤に戻ってみると、。。あれれ、空間が小さい、音ひとつひとつが軽く薄い。。

例えば、 A4曲目のMood Indigo 、冒頭近く、バスクラリネットとミュートトロンボーンのユニゾンのようなものすごい音のムード!。(日本語盤解説(油井正一氏のいいものだ)がついている。国内盤がいいのは、このレベルの高い解説がついていることだ。これによれば、)後半のソロ・ クラリネットは、ラッセル・プロコープだが、ほんとにご機嫌な演奏だ。








ところで、これらの盤をいじっているうちに、ちょっとしたことに気がついた。それぞれのレコードジャケットで、エリントンの頭の位置が違う!のである。

(左から、Original US MONO盤、Original US Stereo盤、日本盤)

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左のMono盤は、頭がやたら上にあって、したがって、足が靴までちゃんと見える。真ん中の Stereo盤だと足が切れている。国内盤は、ちょうどその中間、といった感じだ。なんでこんなことになるのだろうか。面白すぎる。おそらくMono盤が一番真っ当なのだろうと思う。

ところでさらに、オリジナル盤は、赤い大きなELLINGTON の 文字が背景との間で白抜きになっているが、日本盤は文字がベタに写真の上に乗せてある。明らかに手抜き、の感じ。顔色もちょっと灰色ががっていて悪い感じ。
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オリジナル盤。赤文字がちゃんと白抜きされている。


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日本盤。 ELLIN の文字がただべたっと写真の上にのっけてある。




しかし、50年以上も経って、ユーザーにこんな違いの指摘をされるとは製作者は夢にも思わなかっただろう。


しかし、それにしても、後発盤がいい場合には、初期盤はもっといい、ということだ。(ただし、初期盤は経年変化を経ていて、盤面が荒れていたりすることも多い。後盤で状態がいいのと、初期盤で悪い状態なのだととても難しいことになる。)

 

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このところ、LPレコード三昧の日々が続いている。LINN社のレコードプレーヤーLP12のモーター部と電源部の改良版がリリースされた(Radikal2)ので、さっそく入れ替えてもらったのがきっかけだ。LPレコードの音がさらに一段とよくなって、レコードを鳴らすのが楽しくてしょうがない、という感じになっている。


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モーター交換後のLP12   外見はまったく変わらない


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LP12の電源部。基板の交換でバージョンアップができる

ウィルマ・コザートという女性録音技師が、ステレオLP黎明期の50年代から60年代にかけて、アメリカのマーキュリー盤に残した数々の超名録音の数々。そのなかでも、ほぼ衆目の一致する最高のレコードといえば、アンタル・ドラディ指揮のストラヴィンスキー「火の鳥」
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これは、LINNのLP12を改良し続けて、先日、新しく提供されたモーター部を(Radikal )と電源部に差し替えて、さらにLPレコードがとんでもない音、おそらくこれまで誰も体験したことがないLPレコードの音を引き出してくれる、とそう妄想したくなるほど、とんでもなくすごい音がしたのである。





火の鳥は、もう再生、というのではなくて、時間と時を超えて、オーケストラそのものを、この場所に招聘して弾いてもらっている、という感覚である。しかも、私が自由にその演奏中に場所を移動したり、感想を発したり、ということができる、というとんでもない快楽。オーディオの醍醐味の極地だろう。(これはファーストマザーのファーストプレス、という一番の初期盤、であることが欄外の数字から分かる)

こんなレコードがほかにもないだろうか。
同じくコザートが残した、シュタルケル(cello)のドボルザーク協奏曲なども、常に「火の鳥」と並んで超絶名録音とされているのだが、私にはなかなかピンとこない。所有しているのは、マーキュリー盤の2nd盤だからなのか。盤面の状態もあまり好ましくないからか。
(Deccaの録音技師ウィルキンソンが残したすばらしい録音群は、もちろん多数ある。ショルティの『春の祭典』やブルゴス『アルベニス』、アンセルメの「オペラガラコンサート」などなど。このウィルキンソンの初期盤レコードに関しては、先日、オーディオ評論家の山之内正さんが拙宅を訪れて対談した。そのうち、雑誌にその様子が紹介されることになると思う。ので、ウィルキンソン盤はいまは除外する)

そこで出会ったのがクリュイタンスのラヴェル管弦楽曲集。ヤフオクで
本邦初出,半掛帯付/クリュイタンス,パリ音楽院管/ラヴェル管弦楽曲全集(JAPAN/ANGEL:AA-9005-D RED WAX 4LP BOX SET
とあって、この手の最初期盤は日本盤でも音がよい、と直感したのである。さっそく落札して、手に入る。
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ラヴェル「クープランの墓」から第二曲目を聞いてみる。




このクリュイタンスの日本初期盤はほんとにいい。実にいい。マーキュリー盤コザートの明るい明示的な音色とは、ニュアンスが少し異なるのだが(もちろん、曲がそもそも異なるのだから、異なるのは当たりまえなのだが)木管楽器の音色の美しさ、オケの音場感のすばらしさ、きわめてニュアンスの感じられる再生音だ。日本盤でも最初期盤なら、ものによってはすばらしい音がするのかもしれない。実はこのクリュイタンスのラヴェルは、私のながい間の愛聴盤(CDで)だったので、演奏が飛び抜けて素晴らしいのは分かっていたのだが、録音がこんなに絶品だったとは、今回初めて理解したのである。

録音技師ウィルマ・コザート(Murcury)やウィルキンソン(DECCA)の録音だけでなく、ほかにもすばらしい名録音が山のようにある!と期待した一夜である。






<補足>
ふと気になって、レコード棚を検索すると、なんと、このクリュイタンスのフランス盤、しかも初期盤とおぼしきものを私は所有していたのだった。あれ?!持ってた?だった。


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もちろん、こちらのレコードもすごい音がした、とだけ記しておこう。比較や初期盤うんぬん、などはまたの機会に。



 

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