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今、ベルリンで、ドイツ・オーパー・ベルリンによるワーグナーの『ニーベルングの指環』全四夜、観劇中。今日はこれから、いよいよ最終夜「神々の黄昏」を聞くのだが、昨日の夜は一日空いていたので、ベルリンフィルの本拠地、フィルハーモニーで、グザヴィエ・ロトを聞くことができた。





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三ヶ月前、このベルリン行きの計画を立てていた時、ベルリンの演奏会を検索していたときに、なんとロトがベルリンフィルを振るこの演奏会を見つけ、嬉しくてさっそくWebサイトでチケットを購入しておいたのである。
 便利になったものだ。ベルリンのホテルもbooking.comで簡単に予約、演奏会のチケットも博物館の時間指定の入場券も日本から簡単に予約できる。ベルリンフィルに行くのでも、行き方はGoogle mapに入れると、懇切丁寧に日本語で、電車の乗り方、乗り換え、道案内まで完璧だ。海外で過ごすのがこんなに便利になるとは思わなかった。

しかし、曲はブルックナーの三番である。しかも初稿版ときている。ブルックナーの7、8、9番と後期のものは、とてもよく聞いていて大好きなのだが、三番かあ。ほとんど聞いていない。さらにブルックナーは完成した曲をしばしば書き換える。同じ曲でも、初版と後版では全く違う曲になっていることさえある。
 例えば名曲四番『ロマンティック』の三楽章はほとんど違う曲に差し替えられている。昨年もエリアフ・インバルが四番を振るというので演奏会にサントリー・ホールに出掛けて行ったのだが、初稿版なために聞き慣れしんだ四番とは別物。未完成な感じでガックリして帰ってきた。


だから、このブルックナー、三番で初稿版。これは大いに準備しないとダメだなあ、
とロトのまさにこの版の演奏がCDで発売されたばかりだったので、さっそく購入。三ヶ月の間、暇さえあれば、このブルックナー三番のCDを、擦り切れるほど、と言ってもレコードじゃないから擦り切れないが、よくよく聞いた。

初聴では、全くわからない。単なる混沌としか思えない。これいい曲なのか。なんだ、これは。そうやって今日も聴き、明日も聴き、暇があれば流し聞していた。ロトだから大丈夫!そう信じて二ヶ月もたったころ、だんだん構造が文節化して聞こえるようになってきた。あっと、これは大丈夫かも。そのうちにメロディも覚えるようになり、後期8番で聞ける魅力的スケルツオにも匹敵する3楽章!

こんな準備をして臨んだ演奏会だったので、大堪能できた演奏だった。ベルリンフィルの音の凄さ。磐石の安定感で、とにかく力強い。まるで鋼鉄の戦車が向かってくるような迫力だ。ピアニッシモの弱音でさえ、しっかりとした芯があって強い。これがフォルテッシモになった時のダイナミックレンジがものすごく広いので、とてつもない音の爆発となる。しかも一切の破綻がない。とんでもない怪物を、小さな身体のロトが飛び跳ねながら、見事にコントロールしている。CDはケルンのオケでの録音だったので、この演奏会でのオケでは二倍以上のスケール感のブルックナー三番になっていた。最終楽章は、あたかも天国での羽目を外したどんちゃん騒ぎ、のようで、本当にものすごかった。
こんな難曲を名曲に仕立て上げたロトの力量には、ほんとうに感銘を受けた。いい夜だった。

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