ブルックナーの交響曲は、レコードブレーヤー、LINN LP12を使用するようになって、実によく聴くようになった分野だ。
 二年前にLPレコード再導入をして(つまり、LP12を購入して)、さまざまなLPレコードをまたゼロから入手はじめたのだが、まず最初に、LPレコードの音のよさの魅力にはまったのは、オイゲン・ヨッフム指揮ベルリンフィルのハイドン交響曲88番のレコード(ドイツ・グラモフォン DGG 138823)の初期盤を偶然手に入れた時だった。
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その音のよさと演奏のよさにすっかり魅了された(tulip型、alle、赤ステレオ、というほんとの初期オリジナル盤)。1960年代のベルリンフィルの響きのよさ。多少暗めだが深い力感にあふれたオケの音は、ヨッフムの奇をてらったところがないのに実にナチュラルでしかも音楽の喜びにあふれた演奏なのである。ハイドン88番は、かつてフルトヴェングラーの演奏をかなり聴いていて耳になじんでいたが、ヨッフムの演奏はまたまったく別種の音楽の喜びに満ちていた。
 この時代(1960年代)のドイツグラモフォン盤のオーケストラの音はとても魅力的だ。オケがいいのか、録音会場がいいのか、あるいは、録音ディレクターがいいのか、まだ突き止めきってはいないのだが。


 それでそこから、1960年代ヨッフム・ベルリンフィルのレコード探しが始まった。それで二番目に入手したのが、オイゲン・ヨッフム指揮ベルリンフィルのブルックナー交響曲第九番。これがすばらしかった。ブルックナーがすばらしかった。かつて二十数年前までずっとLPレコード再生をやってきたのだったが、ブルックナーなどはまったく魅力的に鳴ることはなかった。分厚い音の塊があっただけだった。LINN LP12の導入で面白くなったのは、大編成の分厚いオーケストラの音だった。

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で、不思議な現象が起こったのはその頃からだ。LINN LP12、特に内部イコライザーurika2でオーケストラのレコードを聴いていると、なぜか、無性に、ライブのオーケストラが聴きたくなってしまうのだ。

■ライブの演奏会でマーラーとブルックナーを聞く
 なにか、生のオーケストラとurika2の音を比較してみたくなるのかもしれない。
それで、都内で行われる演奏会で、マーラーとブルックナーの演目がかかるところは
ないか、と探すと、近所のすみだトリフォニーホールで、新日フィルがマーラー4番とブルックナー4番をほぼ続けて別の日に演奏することが分かって、さっそく出かけて、生のオーケストラの音を聴きにいった。(2018年7月のこと)。一方は、まあ我が国のオケもすばらしい、これで充分豊か、と思い、もう一方は、なんてひどい音の鳴らし方、意味のない演奏なのだろう、ととてもがっくりした。同じオケでも指揮者が違うとこんなに音の鳴り方が違うのかとびっくりした。


 しかし、歴史に残るような名演奏を自分の聴きたいときに心ゆくまで聴くことができるオーディオ、という存在にあらためて深い意味を見いだせた。LP12のurika2を入手して、ほんとうにうれしい、とそう思えた日だった。