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(中央)ウェスタンエレクトリック社真空管VT-2(1918年頃製造)(右)同WE205F 。自作アンプで、整流管を外してVT-2のフィラメントのみに通電して慣らしているところ。丸球のなかM字型フィラメントがオレンジ色に美しく輝いている。

 どうしても、物事の始原へ、と遡ってしまう。真空管アンプはもう何十年も製作している。オーディオ装置のなかで、プレーヤーなどは自作などほぼ不可能だが、メインアンプだけは、今日でも自作していい音質のものを作ることができる。いや、メーカー製では、古典的な直熱三極管を使用したアンプはほとんど発売することができない(例外的にWE300Bを使用したメインアンプが売り出されることがある。部品を吟味したものだと300万円近くしているものがある。例えば、ナグラ真空管アンプ300iなど。これでも300Bの真空管は中国製の復刻品を使用している。)
 最初のうちは、戦後の銘球といわれた2A3(直熱三極管)などをオーディオアンプの出力管として使っていたが、そのうちになんとか入手できたウエスタン・エレクトリック社のWE300B(1988年製や戦前の刻印もの)をしばらくメインに使い、さらには最も最古の出力管と思われたRCA250(1928年頃製造)を使ってきた。そして最近は、もっぱら、ウエスタン・エレクトリックの最古の出力管と思われるWE205D(1925年頃製造)をメインに使用している。
 しかし、調べてみると、元祖にはさらにその原型などが存在しているもの。205Dのさらに原型と思われるのが、VT-2(1918年頃製造)だ。先日、ヤフオクでVT-2やらWE205Dやらが大量に出品されていて、信じられないほど安価でこのVT-2が一本だけ落札できた。

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まさに真空管の原理の原型、と言った感じで、プレート(陽極)とグリッド(格子)とヒーターを兼ねた陰極の三極が目ではっきりと分かる。まさに直熱三<極>管、である。 VT-2 Western Electric Co. INC. と金属部に打刻してある。

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陽極、陰極、グリッド、の三極からなる内部構造。

さてこんなシーラカンスのような真空管。音はそもそもするのだろうか。
ちょっと聞き、で聞いてみよう。片チャンネルのモノラルで。ワルター指揮マーラー「大地の歌」戦前のウィーンフィル。
イメージ 5デジタルファイル+LINN Klimax DSM+ WE VT-2アンプ +タンノイIIILZ




想像していたよりも遙かにいい音でなっている!
では、ヌヴーのヴァイオリン(1940年代、CD復刻)
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を同じ装置で。

透明度、鮮烈度、に関しては、もしかしたら、WE205Dよりも上か?などと興奮してしまう。


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左からVT-2、WE205D初期型、WE205D後期型。