KUROのブログ

黒崎政男〜趣味の備忘録

タグ:IIILZ

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先日は、チェリ・ブル8をLP12(urika2) + KlimaxDSM + EXZAKT520というオールLINN装置で聞いたが、今日は、タンノイIIILZ+RCA250真空管アンプというヴィンテージ装置に戻して、聞き返してみる。そうこうしているうちに、旧東ドイツETERNA盤のブルックナーに移行し、結局、ブルックナー三昧の夜となった。

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左が2019年リマスタリング盤LP(三枚組) 右が2015旧盤(二枚組)
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Altus 2019年 チェリビダッケ ブルックナー8番 二楽章 新LP盤




Altus 2015年 チェリビダッケ ブルックナー8番 二楽章 旧LP盤



このように比較してみると、明らかに新LP盤(2019)の方が、充実した音がする。ff(フォルテシモ)もうるさくないし、ppでも緊張が途切れない。ffではティンパニーも弦も管もそれぞれ固まらずに心地よく鳴っている。
これに比べると、旧LP盤(2015)は派手で、ff(フォルテシモ)はうるさく、音が薄っぺらい。ffでは全体像が崩れるし、ppの静謐感がでてこない。
もちろんこんな感想は、2019年盤(新マスタリング、新カッティング)が出たからこういうのであって、2015年盤だけしかなかった昨日までは、こんなことは思ってもみなかった。比較する、というのはとても残酷な行為でもあるわけだ。


そうこうしているうちに、なにやら、旧東ドイツEterna盤が聞きたくなってきた。1990年ライブの2019年最新LP盤を聞いているうちに、いったい、1970年代のEterna盤と2019年盤の比較(といっても厳密な意味では、演奏家もオケもホールもまったく違うのだから)をしてみたらどうだろう、と思いついたわけである。
ブルックナー8番二楽章だけは合わせておこう。


オイゲン・ヨッフム指揮ドレスデンSKブルックナー第八番 第二楽章

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チェリ盤とくらべるとずいぶん音の鳴り方は違うのだが、ヨッフムのこれはこれでとても充実している。気持ちよくなってきた。

というわけで、Eterna盤ブルックナー三昧が始まってしまった。

ここでは、クルト・マズア指揮でライプチッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団、1975年録音、録音技師クラウス・シュトリューベン、でブルックナーの9番の第一楽章を聞いてみよう。


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なんと充実した、いい演奏だろう。クルト・マズアのEterna盤ブルックナーは実にいい。このジャケットをみるかぎり、録音会場がドレスデンの聖ルカ教会なのか、あるいは、ライプチッヒで録音したのかは不明だが、とにかくいい。
クルト・マズアの後期ブルックナー交響曲をe-bayなどで探してみよう!







 


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 サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルのダイレクト・カッテングLPレコードに端を発する今回のオーディオ耽溺状態。
 東ドイツ時代のETERNAレーベルのレコードの音のよさに、夢中でエテルナ盤を蒐集。特に1970年代に東ドイツ・ドレスデンの聖ルカ教会で録音されたレコードは、名盤と呼ばれるものが目白押しで、(ネットを調べていて知ったのだが)この教会(東ドイツ時代、この教会はドイツ・シャルプラッテンの録音スタジオとして使用されていた)は、レコードマニアの間では、「名盤の聖地」と言われている。
 入手した東ドイツETERNAレーベルのレコードは、
・オトマール・スイートナー指揮 ドレスデン国立管弦楽団 モーツアルト交響曲35~41   1974/75年録音
・ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮 ドレスデン国立管弦楽団シューマン交響曲全4曲 1972年録音 
・クルト・マズア指揮 ゲヴァントハウス管弦楽団 ブルックナー 9番7番5番
ヨッフム指揮 ブルックナー3,4,5,7,8,9番、ルドルフ・ケンペ指揮リヒャルト・シュトラウス管弦楽、その他、多数。このレーベルの話は次回の機会にすることとする。

さて、こうやって、エテルナ盤を堪能していたが、果たして、このエテルナ盤がいいのは、私の個別的装置の問題で、他の装置だったらこんなすばらしい音はしないのか。

これがちょっとひっかかったテーマだった。

■そんなわけで、LINN のエクザクトspeaker 520 を仮導入してみる

このスピーカーは、メインアンプとチャンネル・デバイダーが、スピーカーボックスの中に内蔵されていて、プリアンプにあたるKlimaxDSM と、LAN ケーブル一本のみで接続する。それで終了。
つまり、私が昔、血道を上げて取り組んだマルチ・アンプ&マルチ・スピーカーがデジタルを使うことによって簡潔に一箱に収まったもの、と考えればいい。アンプとスピーカーが(コイルやコンデンサーからなるネットワーク回路を介さずに)直結できるので、締まりのあるパンチの効いた低音を鳴らすことができる。
 520はEXZAKTシリーズで最も小型で置く場所もそれほど取らない。我が家の装置システムの場合には、LANケーブル一本で設置できる。それで仮導入してみたのである。
(LINN EXZAKTシステムが、オーディオ史上どれほど革命的で画期的か、はまた機会を改めて考えることにする。ちなみに、LPプレーヤーLP12のurika2の出力はそのままEXZAKTスピーカーに直結できるシステムとなっている)


まずは、DSのファイルで鳴らしてみる。
ピアソラのタンゴ。通常のCDレベルの音源である。



音のキレがいい。音場がクリアに見える感じ。サウンドステージが見事に成立している。
では、ついでにたまたまプレーヤーに載っていたレコード。演奏・録音ともに最高峰とされるシューリヒト指揮ウイーンフィルでブルックナー9番。





ブルックナー9番 カール・シューリヒト指揮ウィーンフィル
の世紀の名盤を、LINN EXZAKT スピーカーで聴く(盤は日本盤初期盤)




相当にいい鳴りだ。


■EXAKTスピーカー(メインアンプ内蔵)と、真空管アンプ+タンノイIIILZとの対決

こうなってくると、LPプレーヤーLP12とプリアンプKLIMAX DSMは共通で、従来のアンプスピーカーとの比較検討が面白くなってきた。
導入したEXZAKTスピーカーは多少鳴らし込んである個体だが、まだまだエイジングが必要だろう。他方、タンノイは充分に鳴らし込んであり、まだ公平な比較はできないかもしれない。

そういう意味では以下はごく簡単なファーストインプレッションだ。

◎520の音場はすばらしい。広々と水平、奥行きもたっぷりある。まさに
サウンドステージが出現。とくに、ピサロのBeethovenピアノ協奏曲(DS)、ラトルの
ブラームスダイレクトカッティング盤(LP)での音場の作り方はすばらしい。
◎IIILZは最小音量でもリアリティを失わないが、520では、ある程度音量を上げないと
痩せて貧弱に聞こえることがある。音量を中〜大にすると、急に音楽が生きてきて
躍動する。
◎弦楽器の音色の魅力や熱気などはやはりIIILZがいい。タンノイは音楽を熱を込めて鳴らすが、520はクールな感じで鳴らす。
◎520のサウンドステージに比べると、IIILZは平行方面が小さい。したがって、比較すると、IIILZでは若干平面に張り付いている感じがする。つまり、IIILZでは小さめのキャンバスに濃密に魅力的な色彩で書かれた油絵のよう。他方、520は広い空間に澄み切った色彩で描かれた建築物のよう。

しかし、装置によって、これほどまでに音楽の鳴らし方が違うものか。ますますオーディオ耽溺の様相を呈してくる。一ヶ月後ぐらいの変化をまた待つことにしよう。

 
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実にコンパクトなスピーカーで邪魔にならない


 

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