KUROのブログ

黒崎政男〜趣味の備忘録

タグ:SME3012II

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LINN LP12に、クライナKryna社のダブルアーム化システム「ロングアームマウントシステム」を使って、ダブルアーム化し、モノラル専用カートリッジでモノラル盤を再生できるようにした。かなりうまくいったように思う。そもそもLP12のほぼ完成された回転系を借用するのだし、銘アーム、SME3012IIが使えるようになるのだからうれしい。仮設定のようにやってみたが、このままの形で落ち着きそうだ。あとは、アクリルケースでこのアーム部を覆えるようにすればさらに落ち着くだろう。


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カートリッジも、DENON DL102 とortofon GD25DiIIの二つをほぼ同じ重さに作って、かなり簡単に取り替えが可能となるようにした。


今日もまた鳴らしてみよう。
まずは、「ソニーロリンズ+4」というクリフォード・ブラウン(tp)のLPから hot valseをかけてみる。
このときのカートリッジは、DENON のDL102(モノラル専用)を使っている。スピーカーはモノラル専用スピーカーのTannoy 38cm monitor  (silver) in EMG box  1950年代後半の製品だ。
 

リッチー・パウエルのピアノの音が実にくっきりして心地よい音で鳴っている。
このような小編成の音源では、モノラルスピーカー一本で鳴らしたほうが、音像もはっきりするし、問題ない。



 つぎに、モノラル録音のオーケストラ盤を聞いてみよう。グレングールドがバーンスタイン指揮で、バッハのピアノ協奏曲を弾いている。オケそっちのけで、グールドが勝手に弾ききっているのが面白い。


 
このような大編成になってくると、音源が点から出てくるのが、なんとなく、寂しい感じもする。ソロや小編成なら、絶対に一本のスピーカーできくべきなのだが。。


■モノラル音源を二本のスピーカーで鳴らすということ

そこで、思いついたのが、モノラルカートリッジで拾った音源を、二つのスピーカーから鳴らしてみたらどうだろうか、ということだ。一般には、モノラルレコードを聴くときには、LかRのスピーカーの一本だけにして聞くのがよい、とされている。 だがこうすると、大編成オケ(モノラル盤)を聞くと、なにか、寂しいのである。なにか不全感がある。SPレコードでも、ソロは抜群だが、大編成オケのSPレコードはなかなか聴いているのがしんどくなる。
どうせ、モノカートリッジの出力はLにもRにも送られている。 だったら、二本で。(まあ、つまり、モノラルレコードを意識せずにステレオでかけた状態と同一の感じになるわけである)




何度も何度もかけてきた、ブルーノ・ワルター指揮ウイーンフィルの「大地の歌」。オリジナル初期盤。カスリーン・フェリアの声が神々しい。






つぎは、クレンペラー指揮のマーラー四番。このステレオ盤はほんとうによくかけているが、モノラル盤のほうは、一本スピーカーできくと、なにかつまらなくてやめてしまっていた。



うーん、いい。いいのである。音像が2mぐらいにひろがって、オケを聞いていても面白い。
音像が点に結ばない? うーん、そうかもしれないが、しかし二本で聞いたほうが、とても楽しいのである。


大編成モノラル盤は(音源自体はモノだが、ステレオのときのように)二本のスピーカーで聞くのは邪道なのだろうか。
 

 
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 LPレコード時代は大きく分けて二つの時期がある。モノラル録音時代と、ステレオ録音時代だ。おおよそ1950年から1960年までがモノラル時代。その後は、右チャンネルと左チャンネルを独立して録音するステレオ時代になる。LPはしたがってモノラルレコードとステレオレコードの二種類がある。モノラルLPレコードをステレオ用カートリッジで再生すると、どうしても音がよくない。モノとステレオではカッティングされる溝の細かさが異なり、ステレオのほうが溝が細い。したがって、針もステレオなら6〜15μmだが、モノラルは25μm。
 さらに、もっと根本的に違うのは、ステレオ盤の場合には、レコードの溝は水平方向だけでなく、垂直方向にも信号が刻まれている。他方モノラルは横方向の振れに信号が刻まれている。そもそも、太さも溝の構造も全然違う。だから、モノラルレコードは専用のカートリッジで再生してこそ本当の音がする。

■モノラル専用装置を備えては廃棄、また備えては・・を繰り返す

 だが、ステレオのほかにモノラル専用を備える、というのは(夢中になっているときはいいが)やはり荷が重くなってくる。だから、長い間のオーディオ遍歴において、いつも、なんとかモノラル専用装置を備えようとして、そなえては、大げさすぎる気がして処分。またモノラル専用プレーヤーを入手しては、そのうち処分、ということを繰り替えしてきた。いまは、EMT930STという放送局用のレコードプレーヤーをモノラル専用にしているのだが、やはりだんだん大げさな気がしてくる。それにメインのステレオ用プレーヤーLINN LP12は改良に改良を重ねてとてもいい音がする。これに匹敵する(とはいわないまでもレベルをそろえるとすると)モノ装置は。。


 そして、ふっと思いつく!そうだ、LP12をダブルアーム化して、モーター部は共用すれば、とてもいいことになるのではないか!なんとかして、LP12の横にアームを固定する方法はないだろうか。このアイデアを思いついて、web上で検索を掛けると、なんとクライナ社というところから「愛機をダブルアーム化するロングアームマウントシステム」ものが2019年12月に発売になっていた!

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説明は次のようになっていた。
「製品はアナログプレーヤー本体に手を加えることなく、簡単にロングアームを追加して聴くことができる製品。従来はショートアームしか使えなかったプレーヤーにロングアームを追加することで、アナログの楽しみを高めてくれるというもの。使い方はシンプルで、手持ちのプレーヤーを90度左へ回転させて専用ボードの上に載せ、使用するアームの実効長からベースを設置する位置を出し、専用ボード上に固定すれば準備完了。あとはマウントベースにアームを取りつけ、所定の調整をすればよい。」
https://www.phileweb.com/news/audio/201912/16/21372.html

もういてもたってもいられなくなって、さっそく注文。問題のロングアームは、かつて40年前に使っていたことのある、SME3012を使うことに。知り合いのオーディオ屋さんが、程度のいい整備済みのものを持っていた。旧型だ。とにかくこのアームは形が優美でつい見とれてしまう美しさ。
フォノイコはもっとも基本的なものを使い、カートリッジは、まずは、かつてずっと愛用していたDENONのモノラルカートリッジDL102を使うことにした。

さっそく組み上がった。




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作業開始、二時間後。アーム台も仮置き。イコライザーアンプも仮つなぎ、だがとりあえず音だししてみる。想像以上にいい音がして一安心。これはいける!

実は心配していたのである。LP12のターンテーブル部は独特のフローティングシステムを使っているので、単に外からアームを取り付けて、十全な音質になるとはいえないだろう。だが、最高のターンテーブル回転部をちょっと借用するだけで、モノラルカートリッジが使えるなら、絶対に試してみない手はない。

想像以上にいい音である。LINNのあの最高のターンテーブル回転部とロングアームSME3012との組み合わせ。とても明るい澄んだ音でびっくりした。これならちゃんと設置して、設定を詰めていけば、相当いいものになる。ついにモノラルシステムの落ち着きどころが見えてきたかも、という感じになった。



 
アートペッパー Modern Art
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すばらしい演奏の本当に名盤だ。Introレーベル(1956/7) モノラル盤。
このような50年代のジャズの名盤はほぼすべてモノラル盤なのだから、どうしてもモノラル専用カートリッジが必要となる。





 



ついでに、もう一枚。ブラームスのチェロソナタ。フルニエ(cello)とバックハウス(p)の名演。モノラル演奏だ。


 

さて、本格的に作り上げていこう!
 

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