
今日は、サントリーホールで都響の定期演奏会。カリーナ・カネラキス指揮。アリス=紗良・オットのピアノでラヴェルのピアノ協奏曲ト長調とマーラー交響曲一番<巨人>。
ラヴェルにはいたく魅了された。快活で現代的ジャズ的な一楽章と超疾走する三楽章に挟まれた緩徐楽章の二楽章。冒頭からしばらくピアノソロが続くのだが、これが素晴らしい響きで、ちょっと大袈裟だが、この世のものとは思われない幻想的で夢見心地の響きがホール全体を満たす。こんなに魅力にとんだ曲だったとは。
大拍手で何度も呼び出された彼女が裸足だったことに気がつく。なんとオーガニックな感じ。超ハイヒールのユジャワンとはまるで対極だ。でも、お辞儀の仕方はなぜかユジャワン風。高速で腰から折り曲げるあのスタイルだった。
アンコールで弾いたペルトの小曲も、ひたすら繊細な響きをホールでも味わう喜びに満ちたものだった。

後半のマーラー。フォルテッシモになると音楽が生き生きとしてくる。神経症的で屈曲のあるマーラーというよりは、美しい響きのマーラーだった。三楽章の例のコントラバスソロ。難しい音形でわざと歪な雰囲気を作曲家マーラーは狙ったはずだが、コンバス奏者があまりに上手すぎて、美しいコントラバスソロになってしまったのには苦笑してしまった。

なにか、来てよかった。素晴らしい美しさと恍惚感に満ちた一夜だった。
事前にはやはりタコスを食べた。アボガド入りチキンが一番美味しい。
